
最近、自分が死んだあとの遺産相続等の問題について積極的に対策を講じる方が増えています。これまでは、何とかなると楽観視する方が多かったように思われますが、日本公証人連合会の調べによると、対策の一つである「公正証書遺言」の作成件数は、この20年で約1.8倍も増えたようです。
以下では、遺産相続争いを未然に防ぎ、自分の希望を叶えることができるよう、生前対策について説明致します。

1.遺言書の種類
・普通方式・・・・・自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言
・特別方式・・・・・一般臨終遺言、船舶遭難者遺言、伝染病隔絶者遺言、在船者遺言
当事務所では、公正証書遺言をお勧めいたします。遺言者の意思に基づいて公証人が作成し、その原本は、相続開始の時まで公証役場に保管さ れるので、偽造や紛失のおそれがありません。さらに他の方法で必要な家庭裁判所の検認手続も不要で、寝たきりや目が見えない方でも作成する ことができます。多少の手間や費用はかかりますし、内容は公証人や証人2人に知られますが、ご自分の願いを込めるものですので、安全性・確実 性を最優先すべきではないでしょうか。
2.遺言書に対する誤解
@残す程の財産を持っていなければ関係ない
→財産の額に関わらず、相続手続きは必要です。
例えば、不動産を所有している場合、不動産評価額が低くとも法務局に相続登記は必要です。
相続人が複数いれば、それだけ手間が増え、遺産分割協議が長引けば相続登記の手続きも進めることができません。
A相続人間の仲が良ければ遺言書はいらない
→仲が良くても相続手続きが面倒なことに変わりはありません。
現在の仲の良さを継続してもらうためにも、相続手続きで余計な負担を負わせないで済むよう、
相続人の経済状態を踏まえた遺言書を作成してあげる必要があります。
B法律どおりに分ければいいから、わざわざ作る必要はない
→法定相続分(配偶者は1/2、子供は1/2を人数で割る等)はあくまでも目安です。
相続人間で話し合うことにより、どのような分け方もできます。
不動産のように換金しなければ分けることができない財産を法定相続分で分けようとすると、
その不動産に現在住んでいる方が退去しなければならない場合も出てきます。
C遺言書は死にそうになってからで充分
→死は突然訪れる場合があります。
財産がある方は、15歳以上であれば遺言書を作成することをお勧めします。
個人事業主や会社の社長が突然死んでしまうと、得意先や従業員、家族に負担がかかってしまいます。
また、高齢になり判断能力に問題が出ると、遺言書が作れなくなる可能性もあります。
3.遺言書を作る必要があるケース
●相続人以外に財産をあげたい
→日ごろお世話になった方や友人、内縁関係の方等の相続人以外の第三者に財産を上げたい方は、
遺言書を作らなければ、その願いが実現する可能性は低いと思われます。
相続人との間で口約束が交わされていたとしても、相続人が自らに不利なことをするとは考えにくいからです。
●子供がいない夫婦
→相続トラブルが起こる可能性が高いケースです。
長年夫婦二人で生活してきたため、二人の財産は二人だけのものと考える方が多いようですが、
例えば、夫が亡くなってもその全財産を妻が相続できるとは限りません。
夫の両親や兄弟等の夫の家系が相続人となるので、相続手続きが一気に複雑になります。
配偶者に全財産を相続させたい場合は、その旨を遺言書に記してあげる必要があります。
●子供が複数いる
→子供の経済状態や、これまでの親からの支援(学費等)に差がある場合は、
平等に分割することでかえって不満を持つ可能性があります。
また、親と同居し面倒を見てくれた子供に対し他の者よりも多めに財産を相続させたい場合は、
遺言書にその旨をしっかり記してあげる必要があります。
よほど自分の生活を犠牲にして面倒を見たことが明らかでなければ、法律上は他の者と同じ扱いとなります。
●個人事業主、会社の代表者などの経営者
→所有している事業用不動産や自社株が、後継者に引き継がれるよう遺言書に記しておかないと、
事業に支障が生じる可能性があります。分割しずらい財産は、相続争いの原因となりますので、生前対策を進めましょう。
4.KLEEのサポート内容
○相続人の調査・・・・・・・・・・・・・・・・・戸籍謄本等により、相続人の特定をして、家系図を作成します。
後々、想定外の相続人(異母兄弟等)が現れ、相続手続きに支障がでないよう
綿密な調査を致します。
また、相続人には遺留分という権利があり、遺言の内容によらず相続できる割合が、
定められているため相続人を一切無視した遺言書を作ると、トラブルの原因となる場合が
あります。
当事務所では、法定相続人以外の第三者に全財産を遺贈させたい場合でも、
遺留分を考慮した遺言書の作成をお勧めしているため、上記調査を行います。
○遺言書の起案及び作成指導・・・・・・法律上、遺言書は一定の要件を満たさなければ効力がありません。
また、遺言書が法的効力を持つのは、相続の方法や財産の処分、
身分上の行為(子供の認知等)に限られるため、何でも書いてよいわけではありません。
面接により事情を伺った上で、起案及び作成指導(サポート)をさせていただきます。
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